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移植手術の成功率 2021年09月27日

経験豊富な腕の良い外科医の手により、移植手術を受ける事ができれば成功率は高いと通常は考えます。しかし、そうとも言い切れない現実があります。

外科医の技量もさることながら、術後のICUのバックアップ体制が極めて重要となります。また、患者の病状及び基礎体力、加えてドナーの優劣も左右します。

例えば肝移植の場合、患者の病状・年齢(基礎体力)に加えてドナーの優劣、マッチング等をスコアリングします。高得点の患者ほど手術の成功率がアップするのは言うまでもありません。

近年、医療機関はホームページ上に手術件数や術後1年の生存率を掲示します。生存率が高い方が優れた医療機関と見られがちなので、病院側はハイリスク患者の移植手術に対し避ける傾向が見られます。

患者やその家族が移植手術を望んでも、また外科医が同調したとしても、上席の外科部長やセンター長あるいは理事長や医院長などが「病院の評判」を気にされて移植手術を否認するケースが近年、増えています。
加えて「コロナ感染対策」等の事情も重なり、実施件数は例年の半分以下の医療機関が大半です。

以前、他の大学病院で断られた難易度の高い患者を引き受ける、肝移植の名医と言われた田中紘一先生が活躍されていました。
患者や家族は主治医から移植を断られ、すがる思いで田中先生を訪ね移植を懇願しました。どんなに危険な手術であっても移植以外に生きる道がない患者に対して、熱血漢の田中先生は引き受けてくださったのです。

その様な事情を背景にチャレンジ的な肝移植にも立ち向かい、数々の命を救って参られた田中先生ですが、一方6年前、難易度の高い患者8名の肝移植に臨み、術後一ヶ月内に4名が亡くなってしまいました。その事実に対しマスコミは批判的な報道を繰り返されたのです。

肝移植の草分けであり、名医でも手術の条件により成功率は5割となってしまう事例です。
田中先生は京都大学(現:名誉教授)にて肝移植の基礎研究および臨床開発と展開に関する研究の功績から「日本学士院賞」を受賞されています。

余談・・・
田中先生は京都大学に在籍中、世界各地から来訪する医学研修生を積極的に受け入れ指導されていました。私どもが、海外へ案内した患者様の内27名は京大に学び田中教授を師として尊敬し、教えを受けた先生方の手により肝移植を受けています。

14年ほど前の話ですが、患者受け入れ交渉の過程に於いて、外科医とその奥様を夕食に招いた席で、執刀医は日本語で「田中先生への恩返しとして患者を引き受けます」と仰ってくださったことを今でも鮮明に記憶しています。

田中教授は国内のみならず、その教え子により世界各地の自国民および日本人患者の命を救い続けておられます。この事は、多くの日本国民に知って貰いたい事実です。

現地スタッフより



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